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HSBCは現在行っているサービスを全て停止し、新たな試みを考えていた。しかし、世間は決してそれを許すことはなかった。
九月にはSBC英国本店の前でデモ行進をする計画も持ち上がった。
成り行きに色を失ったHSBCは、スターリングのサイト立ち上げからわずか数週間で方針を転換し、サービス継続を決めた。
抗議がウイルス感染のように広がり、統率のとれた連動に発展することを見通せなかったのだ。
このHSBCの例は、情報コストの低下と情報共有の力を如実に表わしている。
ニューヨーク大学でソーシャル・コンピューティングを教えるクレイ・シャーキィは、HSBCの例を重大な転換点になると考えている。
デジタル革命のおかげで、新たな形態の情報共和に火が付き、そのネットワークは人類史に例がないほど大きく、分散的なものになるというのである。
顧客はもはや孤立した声なき存在ではない。
情報を自由に共有できることによって、集約的な覚めが促され、統一した反応ができるようになる。
ツイッターというインスタント・メッセージングのサービスがある、使えば、買い物客は店頭から友人にメッセージを送ることができる。
だから、一人の消費者の不満が、小波のように広がっていくことも可能なのだ。
第7章で論じたグッドガイド続いていく。
に秘められた最も強力と思われる力は、店頭で根本的透明性とあいまって働くのだろう。
製品の格付けを、クリック一つでオンライン友達に伝えられるということなのだろう。
オンライン友達の誰もが、それぞれのオンライン友達にメッセージを送ることができ、その連鎖は永遠にこうしたデジタル機器は、良かれ悪しかれ消災者の月から製品をめぐる其実を隠していたベールをはぐものだ。
市場の情報生態系を変えていくのである。
スイスの巨大製薬会社ノバルティスのCEOダニエル・バセラが言うように、企業は今や、情報技術が生み出した「境界のない世界」に生きている。
インターネットは情報の壁を打ち壊し、企業が嘗ては隠していた都合の悪いことを明るみに出すようになっている。
IT革命のおかげで、いまや企業は都合の悪いことを隠せなくなっている。
友人でハーバード大学ビジネススクール教授のビル・ジョージに、消費者が製品についての詳細な情報を投稿できるサイトを作るというアイデアについて話してみた。
嘗て医療機器メーカーのメドトロニックのCEOを務め、今も大手小売店ターゲットをはじめとする企業の役貝を務めているビルは、長らく倫理的な企業リーダーシップの主唱者であり続けている。
ビルは私の提案に真顔で言った。
「何より、人々はどんな動機で製品を格付けしようとするのだろう?ウェブサイトの背餓にある動機とは、いったい何か?サイトのビジネスモデルは?なぜそのサイトの情報を信用できる?」ウォルマートの経営者の一人も、何も疑問を発した。
「要するに単純化した製品のスコァカードだ。
どうして信用できる?」彼はさらに異議を唱えた。
「人々はすべての情報など知りたがってはいない。
複雑すぎるし、情報過多になる」こうした声をグッドガイドのダラ・オロークにぶつけてみた。
「私の何よりの動機は、nら五歳児の子を持つ父親であるということだ。
市民として、一人の消費者として、こうした情報が手に入るようになり、自分たちや家族のためにより良い判断ができるようにしたいのだ」ビジネスモデルについては、グッドガイドもあいまいである。
これまで同社の運営は、シードマネー(起業の投資資金)によって賄っている。
ハイテク新興企業のご多分にもれず、関係者もとにかく製品を完成させることに集中しており、収益構造は二の次になっている。
「怖報を大衆に届けたいのだ。
利用料金なしでね。
何とか利益を上げる方法を見つけなければならない。
だが、今は考えている段階ではない」複雑な情報をシンプルに提示することと、その複雑さを疎軍することの矛盾は、二つのユーザー隅に応えることで解消できるとオロークは説明する。
「当社の表示は一見すると非常に単純でわかりやすい。
だがその背景には、膨大なデータが詰まっているのだ」オロークは、グッドガイドを展開していく上で真っ先に手掛けなければならないのは、システムに対する信頼性を築くということだという。
「我々はもともと学者だから、やり過ぎるきらいがある」とオロークは言う。
「だが正しいデータを提供する必要がある。
誰でも結果の詳細をチェックして、結果表示がねつ造ではないことがわかるようでなければならないのだ。
技術的なディテールについては、全くオープンだよ」グッドガイドのようなサイトは完全に透明性を確保しなければならない。
情報源を開示するだけでなく、格付けの根拠をも開示しなければならないのだ。
メイン州の堂販店ハナフォードでは、ダートマス大学などの栄養学者らが開発した三つ星の栄養格付けを表示しているが、その根拠は示していない。
この格付けシステムは、ハナフォードをはじめ食料品店を数多く展開するベルギー企業ダルヘイズ・グループの知財である。
ダルヘイズでは、このシステムを、他地域の雄販店にライセンスすることを考えている。
だからこの三つ星システムは、買い物客に情報を提供する一方で、売り物でもあうoようだ。
同社の格付けシステムは、食品が含むさまざまな栄養素の価値を複雑に荷重計算している。
こうした計算の常として、そこには栄養や健康をめぐる科学的知見への評価など、さまざまな判断が秘められている。
もちろん良心的な判断だが主観は排除できない。
それ以上に、第三者によって検証することができない。
この種の営利情報システムの常として、格付けアルゴリズムの詳細は知財だからだ。
栄養を格付けするシステムは、ワシントン大学の栄養科学プログラムのディレクター、アダム・ドレウノスキーも開発している。
このシステムでは、どんな食鮎についても、栄養の評価をシンプルな数値、星の数、あるいは文字で表わすことができる。
だが彼のシステムは完全に透明で、非憎利である。
彼はその詳細を、学術雑誌で発表しているのだ。
その結果、彼の格付けに生かされている判断は誰にでも検証できる。
こうした栄養格付けシステムのどれもこれといって問題は抱えていないが、非公開である以上、内容をゆがめる危険は排除できず、評価の信頼性を損ないかねない。
その岐蕃の解決法は、完全な透明性をもたらすことだという脂摘もある。
化粧品類の安全度を評価するサイト「スキン・ディープ」では、こうした透明性を提供している。
このサイトではスポンサーが意見団体エンバイロメンタル・ヘルス・ワーキング・グループであることを明かしている。
また原材料ごとの格付けの根拠となった研究も明かしている。
「試験管試験で、肺乳類の細胞の突然変異が確認されている」といった訓子である。
またこのサイトでは、格付けに至った経緯も公表している。
このサイトでは、個々の格付け結果の確からしさを、原材料ごとのデータの豊かさに基づいて公表している。
したがってこのサイトで安全性ランクのワースト一○に格付けされているシャンプーについては、その五○種類ほどの原材料について、「その九三%にはデータがないか非常に不明確」であり、「八九%についてはFDA(食品医薬品局)による検証研究が行なわれておらず」、「四五%については業界による自主検証データもなく」、データ・ギャップは総計八○%に及ぶことが公表されている。
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